NEWS / EVENT

ハチイチ-八王子校舎旧1号館解体直前の空間<

工学院大学八王子校舎旧一号館は、1963年の八王子キャンパス開設と共に、1、2年生時の基礎科目の教育として、工学院の学生にとって馴染みのある建物です。昨年、新しく建てられら総合教育棟へと機能が移転され、すでにこの校舎は使われていません。50年間の役目を終えた旧一号館は、もうすぐ解体されようとしています。
工学院大学の学生として、私たちはお世話になったこの校舎の最後の姿を良い物にしたいという想いがあります。
建築学を学び、改めてこの旧一号館を見てみると、今まで気がつかなったような建築的な美しさを発見しました。絞られた窓から挿し込む光、窓枠の割り付け、傾斜を活かした眺めの良いエントランスホール、階段の手すりのディテールなど。教室として使っていた時には気づくことはなく、学生がいなくなった今、あらためて見ることで美しく感じることが出来るのです。
日常的であった空間が解体直前となることで見えてくる魅力に着目し、その部分をアートによって装飾・増幅させることで、訪れた人々にこの建物の記憶を残すことが目的です。

会 期 2013年10月28日(月) - 2013年11月3日(日)
月 - 金 12:00 ~ 16:00
土 - 日 9:00 ~ 17:00
会 場 工学院大学八王子キャンパス旧1号館 (アクセスマップはこちら
入場料 無料
主 催 ハチイチ企画学生有志団体
お問合わせ メール:hatiiti1103●gmail.com(●を@に直して送信してください)
その他 ポスター(PDFファイル444KB)

summary

ハチイチ報告書 ハチイチ企画学生有志団体 中原 佑太 澤岡研究室 修士2年

 10月28日から11月3日までの1週間、工学院大学八王子キャンパス旧一号館にてイベント「ハチイチ(八王子校舎旧一号館解体直前の空間)」を行いました。
 旧一号館は1963年に八王子校舎とともに開設されてから50年間、共通過程のための校舎として工学院大学の多くの学生から親しまれた建物です。2012年に新しく総合教育棟が建設され、旧一号館の機能は総合教育棟へと移転しました。役目を終えた旧一号館は、解体されることが決定しました。
 私たちは工学院大学の学生として、お世話になったこの校舎に対して何か出来ないかと考えました。解体が決定された後、立ち入り禁止になっていた校舎に改めて入った時、授業を受けていた頃には気づかなかった校舎の特徴を発見しました。窓によって絞られて入ってくる自然光、緑色の窓サッシと歪んだガラス、光を反射する整列された机の天板、職人の手作業によって磨かれた床、コンクリートを削り出して作られた階段室の手摺、窓から見える屋外の植物。旧一号館の持つ空間の魅力に気づきました。
 解体されることが決定された後に、旧一号館の「最後の空間」を体験することができるイベントを行うこと。それは現在の大学の利用者だけではなく、卒業した方にも見ていただけるように、11月3日のホームカミングデーの日に設定しました。また、私たちの発見した空間の魅力を伝える手段として、アートを製作することを考えました。旧一号館の中でも特徴的な4階の階段教室に、壁から反対側の壁まで、一本一本銀色のテープを頭上に張り詰めることで、窓から入ってくる自然光を増幅させることを目指しました。制作には建築学科の学生が、学年を越えて40名ほどが携わりました。  1週間の展示期間の中で、来場者は157人を集めました。今年入学した1年生は旧一号館に入るのが初めてでした。2年生以上は校舎の思い出を教えてくれました。OBの方からは、私たちの知らない校舎の歴史を教えていただきました。
 このイベントを通じて、実空間を使った制作は学生としてとても貴重な経験が出来ましたが、それ以上に、私の年齢よりも長い時間を経た旧一号館の持つ歴史を、建物自身とその周囲の人々から知ることが出来ました。解体される直前の空間には、蓄積された記憶があり、その記憶と現代の利用者をつなげる役割が出来たのではないかと思います。

 今回のイベントを実行する上で、建築学科同窓会、工学院大学総務課・学生支援課、冨永祥子先生から支援・協力をしていただきました。」深く感謝を申し上げます。


写真を拡大する