学部長からのメッセージ

2022年度 新入生のみなさまへ

空間を五感で感じる

「建築は工学なのか。」これは長きにわたって日本の建築教育の中で問われ続けてきた課題でした。工学部の中に建築学科が位置づけられるのが当たり前だった時代に、実は建築は工学ではないのではないか、という議論が繰り返しおこなわれていました。建物の構造や設備については、いかにも工学系の研究が数多く見られますが、都市計画や空間のデザインは工学なのでしょうか。

 そこで工学院大学は、長い間の議論を経て、今から11年前の2011年に工学部から離れて、日本で初めての建築学部を創設しました。 昨年5月には建築学部創設10周年として、全国の「建築学部」を名乗っている各大学の学部長にオンライン上で集まっていただき、各大学の建築学部における取り組みについて幅広く情報共有をすることができました。同じ建築学部でも、それぞれの大学の特色が出ていて、とても興味深いイベントとなりました。

 本学の建築学部では3年生の時に学科を選択し、4年生になると研究室を選択して自分の専門とする分野を定めていくことになります。しかしこれは自分が勉強する分野を「狭めていく」ということではありません。あくまでも自分が探求する分野を「定める」だけであり、その分野を深めていくためには幅広い知識が求められることは変わらないのです。ですから1年生、2年生の時には幅広い基礎や教養となる分野の講義を履修するとともに、3年生、4年生の時には自分の専門だけでなく、他学科や他分野の授業を受けて、自分が極めて行く分野に厚みを持たせるための研鑽を積んでください。

 ところで昨年は、COVID-19のパンデミックが継続した年であり、なかなか以前のような自由な生活ができない年でしたが、Tokyo2020としてオリンピック・パラリンピックが開催された年でもありました。浅学にしてパラリンピックの競技をそれまで具体的に知りませんでした。しかし、オリンピックと同じ競技名が付いていても、まったく異なるルールで行われるものもあり、それぞれが魅力的で本当に「世界中のさまざまな人が共に生きる場面」を目の当たりにすることができました。

 こうしたさまざまな場面を支えるのが、建築や環境です。それらの計画に都市・構造・設備・意匠・ランドスケーブなどの専門分野から携わる私たちは、より広い視点と視野を持つことが求められるのではないでしょうか。大学生活の4年間は、PCやスマホといったデバイスのモニターから情報を得るだけでなく、五感を使ってさまざまな情報を自分のものにし、それを自分の専門分野へとつなげてゆくプロセスだと思います。是非とも、多様な経験値を増やすことにより、幹の太い根を広げた大学生になることをめざしてください。

2022年4月2日
工学院大学建築学部 学部長 筧 淳夫

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