設計者 | 冨永祥子 |
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住所 | 東京都八王子市中野町2665-1 |
面積 | 地上1階、構造/木造 敷地面積/162,103.06m2 建築面積/250.97m2(弓道場115.80m2、的場33.12m2、ボクシング場102.05m2) 延床面積/231.87m2(弓道場106.00m2、的場33.12m2、ボクシング場92,75m2) |
- これは何の建物ですか?
- 工学院大学八王子キャンパスに建つ弓道部・ボクシング部の部活動のための建物で、キャンパス内では唯一の木造建築です。日常的な練習はもちろん、他大学を招いての大学対抗試合や合宿練習にも使います。
弓道場は射場・的場とその間に広がる矢道で構成されています。ボクシング場はリングと練習スペース、更衣室を備えた建物です。 - どのようなコンセプトで建てられましたか?
- 日常的な部活動の場としての「親しみやすさ」と、心身を鍛える場としての「緊張感」の両方をあわせ持つ建物にしようと考えました。
「国産ヒノキ材を使った柱のない空間(7.2m×10.8m)」という条件に対し、弓道場には細い束・貫による格子フレーム、ボクシング場には大仏様(東大寺南大門などの様式)の三手先を内部空間に反転した天秤フレームを提案しました。水平垂直の部材の接合部が外力を吸収する柔軟な構造で、日本の伝統的木造建築の美しさや構造特性を現代の技術で再構成しています。 - 工夫したポイントは何ですか?
- 設計の早い段階から木材業者と密に情報交換することで、最適な材料を選ぶことができました。また当大学の木質構造系研究室の河合直人教授と一緒に構造実験を行い、貴重な裏付けデータを得るなど、恵まれたチーム体制のおかげで新しい木造の可能性に挑戦ができました。
また入学したばかりの建築学部1年生を対象に「コンクリート平板作りワークショップ」を行い、彼らの作品を弓道場の一部に組み込んでいます。自分達の作ったものが建物になる楽しさを実感してもらえるいい機会になりました。